SPRING IN NEW YORK by Liu Xiaodong
中国人アーティスト、リウ・シャオドン(劉 小東、Liu Xiaodong)の作品集。2020年に「リッソンギャラリー(Lisson Gallery)」のオンライン展覧会で発表され、高い評価を受けたパンデミック期間中のプロジェクト発表に伴い刊行された。
2020年前半、通常であればあちらこちら旅している作者は、世界的なシャットダウン、健康恐怖の深刻化、長期にわたる渡航禁止令などにより、アメリカを離れ、故郷・北京に戻ることができなくなった。ニューヨークの小さなアパートで、作者はCOVID-19第1波の期間中の規制と「ブラック・ライブズ・マターズ(Black Lives Matter、BLM)」による人種差別抗議を通じて変化する街の風景を記録した一連の水彩画を制作した。
本書は、この歴史的な瞬間を記録したものであり、強制されて滞在した期間中に制作したイラスト、写真、ドローイングを収録している。また、「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(Solomon R. Guggenheim Museum)」のシニア・キュレーターを務めるアレクサンドラ・マンロー(Alexandra Munro)による洞察に満ちたエッセイや、作者自身が日々の記録を書き下ろした日記(英中バイリンガル)も掲載されている。
「ボストンのコロンブス像の頭部が切り落とされたと聞いた。夕暮れ時、私はハドソン川まで歩いていき、遠くに見える自由の女神を眺めた。彼女は今もそこにいる。」― 2020年6月12日リウ・シャオドンの日記より抜粋
「中国北西部にいるウイグル族のネフライト(軟玉)の鉱山労働者からトルコやギリシャにいるシリアの難民まで、日常の人々を素直に、愛情を持って描き、長年にわたって社会闘争に光を当ててきたこのアーティストが、ニューヨークの歴史的な春の目撃者としてこれほどふさわしいとは思えません。」―アンドレア・K・スコット(雑誌『ニューヨーカー』より)