SWEAR THAT YOU'LL PLAY - CHANTAL CROUSEL GALLERY
フランス・パリのギャラリー「Galerie Chantal Crousel」の創立40周年を記念して制作されたアーカイブブック。現代アートシーンの立役者としてフランス国内外で名高い同ギャラリーの歴史を、700ページを超える充実した内容で振り返った1冊。出版を記念して、同ギャラリーのアーカイブから厳選した作品を「Swear That You'll Play」専用ウェブサイトで公開していた。
冒頭には100ページを超えるインタビューを収録。ポルトガル・ポルトにあるセラルベス財団のディレクター、フィリップ・ヴェルグネ(Philippe Vergne)がインタビューを取り仕切り、最初にオーナー兼ディレクターのシャンタル・カルーセル(Chantal Crousel)、次に共同オーナーで息子のニクラス・スヴェナン(Niklas Svennung)に、ギャラリストとしての仕事と批評家としての責任をどう捉えているのか、一緒に仕事をしてきた尊敬するアーティストたちについて話を聞いた。シャンタル・カルーセルはベルギーでの子供時代、美術史を学んだこと、画家クリスチャン・ドートルモン(Christian Dotremont)と出会い、初めてのギャラリー「La Dérive」をオープンしたことなどを振り返った。何年にも渡るコラボレーションを経て、このギャラリーから「Galerie Chantal Crousel」が誕生した。ニクラス・スヴェナンは、過去10年間の同ギャラリーの歴史と、新世代の国際的なアーティストに目を向けることによってその変革を形作りたいという意欲について語った。
これに続き、「Galerie Chantal Crousel」で開催された展覧会をほぼ網羅した大量のイメージコレクションを見ることができる。アブサロン(Absalon)、モナ・ハトゥム(Mona Hatoum)、グレン・ライゴン(Glenn Ligon)、ジャン=リュック・ムーレン(Jean-Luc Moulène)、ガブリエル・オロスコ(Gabriel Orozco)、アンリ・サラ(Anri Sala)、ヤン・ヴォー(Danh Vo)らの作品をはじめ、トニー・クラッグ(Tony Cragg)、シンディ・シャーマン(Cindy Sherman)、ソフィ・カル(Sophie Calle)など、同ギャラリーと関わり合いのあったアーティストの作品を紹介。
最後に、歴史家パトリシア・ファルギエール(Patricia Falguières)と哲学者アレクサンドル・コンスタンツォ(Alexandre Constanzo)が、同ギャラリー所属のアーティストたちの作品に対する批評家たちの評価に重点を置きつつ、この視覚的な年代記を締めくくる。ここでは、2人の個性が光るアプローチが互いに補完し合い、相乗効果が生まれている。700ページを読み終えれば、ギャラリーの進化の過程と、長い歴史の中でこの場所がどのような形態や空間として機能してきたかがはっきりと見えてくる。さらには、ギャラリストの仕事とは何かを理解した上で、自分なりの定義を見つけることができるのではないだろうか。