THE ARDBEG by Leo Rubinfien
アメリカ人フォトグラファー、レオ・ルビンファイン (Leo Rubinfien)の作品集。2010年にタカ・イシイギャラリーで開催された展覧会に伴い刊行された。作者本人によるエッセイを収録。(英語、日本語)
以下プレスリリースより抜粋
1953年生まれのルビンファインは現在ニューヨークを拠点に活動し、アメリカを代表する写真家の一人として高い評価を受けており、これまでメトロポリタン美術館(ニューヨーク)、西武アート・フォーラム(東京)、サンフランシスコ近代美術館、コーコラン美術ギャラリー(ワシントンD.C.)にて個展を開催しています。これらの個展で展示された作品は、作品集『A Map of the East』と 『Wounded Cities』として出版されています。『Wounded Cities』掲載作品は2011年の8月から10月まで東京国立近代美術館で開催される氏の個展『Wounded Cities』にて展示予定です。
1980年代前半、ルビンファインは新しいカラー写真表現を追い求める若手アメリカ人写真家のひとりとして注目を集め、シンシナティ美術館にて今年開催された当時の写真を振り返る展覧会、「Starburst: Color Photography in America 1970-1980」においてもその作品が取り上げられています。一方で、ルビンファインの関心は常に国外へ向いており、キャリアの初期から一貫して、彼の様々な活動は世界のグローバル化への新たなアプローチとして発展を遂げてきました。彼は次のように述べています:
私は写真家として人生の大半を国々の間に存在する領域を探索し続けてきた。時折私はこの領域を「ワールド・シティ」(世界都市)と呼んでいる。作品集「 Wounded Cities」の中で私は以下のように綴っている:私はしばし世界都市に住んでいるかのような感覚に浸っていた。様々な国の都市は結束点で、それぞれが見えない糸でつながれている巨大な格子状の空間の中に私達は存在している。航空路線、衛星回線、海底ケーブル、グローバル企業間の株式保有、クレジットやローン、サプライ・チェーン、流行といった個人同士を結び付ける曖昧で無限に広がる結びつき。その集合体の中においては、大都市の端から端までの移動よりも海外へ出ることの方がよほど容易に思えた・・・。世界都市とは自分が現在どこにいるかが特定出来ない空間であり、例えば、ブエノス・アイレス、デュッセルドルフと香港が各自の個性を失い、区別がつかないような場所である。また、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、それぞれの地域が持つイメージが互いのイメージに影響を与え合う空間であると同時に、生まれ育った田舎にはないある種の自由と爽快感を体感することができる場所でもある。そして願望や憧れに満ちているからこそ、そこには美や不安、そして時には恐怖さえもが混在しているのだ。
-グループ展「Not Making it Up」(Packer Collegiate Institute、ニューヨーク、2010年)へ寄せたルビンファインのアーティスト・ステートメントより
近年、カラー写真とともにモノクローム写真の制作に携わっているルビンファインは、プリントに光沢をあたえる繊細な技法を発展させることにより、過去にダイ・トランスファー・プリントで追求された色彩の豊かさや美しさを自身の作品において実現しています。ルビンファインの作品には独特の親密さ、豊かさ、そして国際的な拡がりを感じることができます。