ロンドンを拠点に活動するアーティスト、イアン・ウィットルシー（Ian Whittlesea）の作品集。本書は、芸術家であり教育者のヨハネス・イッテン（Johannes Itten）が傾倒し「バウハウス（BAUHAUS）」で生徒たちに教えていた神秘主義思想「マスダスナン（Mazdaznan）」の最も高度なエクササイズに関するガイドブックである。歌や鼻歌を歌いながらポーズをとることで、分泌腺を活性化し、体内のエネルギーを再循環させ、血液を活発にし、人類の永続的な進化の一助となることを目的としていた。また、このポーズは自己発光を誘発し、参加者の身体が内側から強烈な光を発するとも言われていた。

アメリカで「マスダスナン」を創始したオットーマン・ハーニシュ（Otoman Zar-Adusht Ha’nish）が手がけたオリジナルの指導書を新たに編集し、作者のイラストレーションとともに、舞台俳優であるエリー・ンザランバ（Ery Nzaramba）がポーズを実演する画像を掲載。キュレーターであるパードレイク・E・ムーア（Pádraic E. Moore）によるエッセイでは、秘教的な活動、その人種論、初期モダニズムがオカルトや「マズダズナン」やイッテンを受容し最終的に否定したこととの関係性を探る。