アメリカ人フォトグラファー、ジョン・レアー（John Lehr）の作品集。本書は、アメリカの考古学的な観点における「現在」に生まれた人工物を探る一冊である。本シリーズの作品は、建築、看板、イメージ、オブジェなど、注目を集めるために急遽作られたり、有用性が失われた後にその場に放棄された、土着的（ヴァナキュラー）な形を描き出している。作者はそのような形を、現代アメリカ人の生活という生地に織り込まれている衰退、再生、暴力、哀悼の繰り返しの象徴として据えている。

光が煌々と降り注ぐ写真群は、資本主義という言語を通して語られる国家を鮮やかに描写している。言葉やイメージは、作品を通して繰り返されては矛盾を生み、強調された主張や優先順位の移り変わりを反映している。またある時は、言語が完全に崩壊し、原始的でありながら完全に現代的な絵画的形態へと取って変わっている。剥がれ落ちた絵の具がJPEGのビニル印刷やLEDディスプレイに姿を変え、商業的なスピーチと個人の表現の境界線が曖昧になっている。

本作に刻まれているのは、集められた経験の痕跡をまるで身体と同じように背負わせた、物質の「力」と「不条理さ」に込められている信念である。そのようなものが凝縮され強調されたイメージ群が織りなすシークエンスにおいて、本作はまるで散文詩のようにも、転機にさしかかった一つの国家に関する暗号のようにも読める。