THE PLIABLE PLANE: THE WALL AS SURFACE IN SCULPTURE AND ARCHITECTURE, 1945–75 by Penelope Curtis
イギリス人キュレーター兼美術史家、ペネロピ・カーティス(Penelope Curtis)の作品集。本書は、戦後、彫刻がどのように建築思想に浸透していったかを辿る1冊。作者の研究では、「壁」が創造的思考の特別な位置を示しており、連続性と分離の両方を生み出す表面でありながら、2つの分野を統合し、区別するものであると見なしている。作者は、防空壕、洞窟、戦争記念館、公共施設などにある、彫刻、鋳造、応用、想像、さらには概念的なものまで、一連の壁を概観し、1945年から1975年の立体概念を定義した、有名、もしくは無名のアーティストたちを紹介する。
本書は、イギリス人彫刻家、ヘンリー・ムーア(Henry Moore)、ドイツ人テキスタイルアーティスト、アニ・アルバース(Anni Albers)、オーストリア系アメリカ人建築家、芸術家、フレデリック・キースラー(Frederick Kiesler)、スペイン人アーティスト、ホルヘ・オテイサ(Jorge Oteiza)、イギリス人アーティスト、メアリー・マーティン(Mary Martin)らの作品と生涯を詳しく解釈しており、戦時中の制作の展開、ラスコー洞窟の発見、レリーフアートの発展を網羅した作者の明晰な歴史が描かれている。本書では、見慣れた組み合わせや二分法から離れ、合体や影響を及ぼす空間や表面を考察している。作者は、壁を仕切りとしてだけでなく、支えとしても理解するように促し、この柔軟性が彫刻と建築の双方の発展に重要であると主張している。
by Penelope Curtis
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