THE PROMISE by Vasantha Yogananthan [SIGNED]
マグナムが主催する「30 UNDER 30」という、30歳以下の写真家30選に選ばれたフランス人フォトグラファーであり「CHOSE COMMUNE」の共同設立者でもある、ヴァサンタ・ヨガナンタン(Vasantha Yogananthan)の作品集。本書は、紀元前300年頃にサンスクリットの詩人ヴァールミーキによって記録された全7章からなるヒンドゥー教の聖典であり古代インドの大長編叙事詩『ラーマーヤナ』を現代的に再話。各章ごとに1冊ずつ写真集化する長期プロジェクト「A Myth of Two Souls」の第2章として制作された作品。作者は、2013年よりインドを北から南へと旅をしながら『ラーマーヤナ』の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にする中で見られる『ラーマーヤナ』の影響をインスピレーションに撮影を敢行。鮮やかな色に仕上げた写真、ハンドペインティングやイラストレーションを描き加えた写真に、土地固有のイメージを織り交ぜそれぞれ点在させることで、時代を超えたこのストーリーの層を成す一冊を巧みに編み込む。こういった演出により敢えてフィクションと現実との境界線を曖昧にした作品に仕上げている。第2章にあたる「THE PROMISE」は、『ラーマーヤナ』の主人公である二人ラーマ王子とシータの恋に焦点を当てたストーリー。二人が心を通い合わせる場面やお祝い行事、困難などのシーンを描く本編は、インドやネパールの人々の間で共有されているイメージを生かし、それを重点的に組み込んでいる。『ラーマーヤナ』は長い時を経て何度も書き換えられ再解釈され続けており、この作品集自体もインド人作家Arshia Sattarにより新たに書き直されたものである。本プロジェクト「A Myth of Two Souls」は2016年から2019年の間に制作され、最終的に7冊が刊行予定。また、2017年には第1作目の功績が評価され、作者のヴァサンタ・ヨガナンタンが「ICP INFINITY AWARDS 2017」の賞の1つ「EMERGING PHOTOGRAPHER」を受賞している。
記事:ヴァサンタ・ヨガナンタン インタヴュー
ドキュメンタリーとしての現代版ラーマーヤナ「A Myth of Two Souls」(IMA ONLINE)