スイスを拠点とする実業家、コレクターのティエリー・バルビエ＝ミュラー（Thierry Barbier-Mueller）による椅子のコレクションをまとめた作品集。このプライベート・コレクションは、日常的に使われているものの寄せ集めではない。そのほとんどが座るという本来の目的から逸脱した、創造物 – 生き物の集合体である。隠喩的に誇張された高さや断絶がひとつひとつの椅子に個性を与え、物理学の不確かな境界線を探る彫刻へと変貌させている。本書の豊富で贅沢なレイアウトは、読者をこの物珍しいキャビネットへと没頭させ、好きなように想像をふくらませさせることを可能にしている。著名なアーティストやデザイナーの手による作品を解釈したフォトグラファーでありヴィジュアルアーティストのニコラス・ポリ（Nicolas Polli）や、アーティストのジャン＝ヴァンサン・シモネ（Jean-Vincent Simonet）のフォトグラフィック・エッセイを収録。その他テキストは本コレクションをアートとデザインの衝突として描き、コレクターの人生におけるコレクションの意義、そしてコレクションへの情熱につながる普遍的な理由について語る。