WOLFEN by Tobias Zielony

ドイツ人フォトグラファー、映像作家であるトビアス・ツィローニ(Tobias Zielony)の作品集。1936年、ドイツのアグファ・ヴォルフェン フィルム工場(Agfa Filmfabrik Wolfen)で世界初のカラーフィルムが開発された。現在「ORWO Filmfabrik」(「ORiginal WOlfen」の略)の名で運営されているこの工場は、東ドイツで最も重要なカラーフィルムの製造会社となった。「ORWO」によるモノクロフィルムとカラーフィルムは、ベルリンの壁崩壊まで、東欧圏全域における映画と写真のスタイル確立に貢献した。広大な工場にはかつて15,000人の従業員がいたが、今は数十人のみが働いている。工場は取り壊され、現在この跡地に残っているのは、QRコード形式でデジタルデータを刻み込むことができ、長期安定性を持つ特殊なアーカイブフィルムを製造する、「フィルモテック社(Filmotec)」という小さな会社だけである。本書は、作者がヴォルフェン・ビッターフェルトで撮影した写真、「フィルモテック社」のアーカイブフィルムに保存されたイメージ群、エッセイとサイエンス・フィクションを行き来するテキストを通して、知られざる物語や、寒さと暗闇の物語、次第になくなっていった仕事のうち、そのほとんどを女性もしくは1945年までの間には強制労働者が担っていたフィルム工場での仕事について記録した物語である。アナログフィルムの時代には、写真加工は暗闇の中で行わなければならなかった。作者の作品は、伝記的、物質的、歴史的な面でこの考えに取り組んでいる。

本シリーズは、2022年にドイツの「ハンブルグ美術工芸博物館(Museum für Kunst und Gewerbe Hamburg)」で開催された展覧会「Mining Photography」、同年にビッターフェルト・ヴォルフェンで開催された芸術祭「OSTEN Festival」のために制作された。

by Tobias Zielony

REGULAR PRICE ¥6,600  (tax incl.)

hardcover
212 pages
215 x 320 mm
color, black and white
2023

published by SPECTOR BOOKS