イギリスを拠点に活動するフランス人アーティスト、ジョアンナ・タガダ（Johanna Tagada）の作品集。作者は、物心ついた頃からスケッチブックに絵を描いていた。それは日々の生活を綴る日記のようなものであり、自身の人生と創作活動において重要な役割を担っている生き生きとした場所であり、自身の庭を大切にする毎日の営みと重なる。

このスケッチブックでは、形と色が繊細で楽しげなハーモニーを奏でている。ドローイングは、作者の持つ親密な世界観を見せる。グレーの鉛筆が描くシンプルなストロークが、片手に持つ野の花と出会い、見慣れた顔は作者と共に暮らすカナリアの「レモン」のような小さな動物と遭遇する場所となる。

2014年から2024年までの間に描かれた10年間分のノートを読み解くことで、飽くなき好奇心をもって日常を観察するように作者が我々を誘い、その豊かで多面的な作品に出会うこととなる。

作者と版元であるフランスの出版社「CHOSE COMMUNE」の創設者・編集者であるセシル・ポワンブフ・コイズミ（Cécile Poimboeuf-Koizumi）による対談で本書は締め括られている。

フランス語、英語、日本語併記