GENTLEMEN by Karen Knorr

ドイツ生まれ、イギリスを拠点とするアメリカ人フォトグラファー、カレン・ノール(Karen Knorr)の作品集。本作は、1980年代ロンドンの上流階級の紳士限定の会員制クラブの中で最も格式の高いクラブの内側という、神聖な領域に我々を誘う。計算されつくされた美しい写真と、当時の議会でのスピーチや新聞から構成したテキストは、イギリス上流階級の愛国的な価値観についての考察となっている。本シリーズを構成する全26のイメージとテキストは、家督相続(※註)がまだ重視されていた時代に上流階級の人々を保守的な貴族階級の価値観に同調させていた考え方とは何かを問う。1970年代の初頭まで、家族のために何かを買うときに妻は夫の承認を得なければならなかった。今日では、女性も完全な財産権を有しているが、それでも経済や学問の分野では重要な管理職に就く女性の比率は少ない。こうした閉鎖的な業界は、今でも男性ばかりのボーイズ・クラブがその象徴であり、そこに属する女性は名誉会員扱いである。高い評価を受けた前作『Belgravia』(2015)の続編としてリリースされた本作は、男女の平等性や不平等な社会の改革が叫ばれる時代に求められるかのようであり、ユーモアを上手に使い1980年代英国の支配階級に見られた考え方を検証している。作者によると保守党の紳士クラブ「The Carlton」は当時も今も、女性が正会員になることなどほぼありえないとされていた。今日でも、政治やビジネスにおける影の影響力は、こうしたクラブにおいて行使されていると言える。

※註 娘に優先して長男が親の遺産を相続する法的権利

by Karen Knorr

REGULAR PRICE ¥7,480  (tax incl.)

hardcover
58 pages 
350 x 280 mm
black and white
2016

published by STANLEY/BARKER