LIFE AND WORK by Pierre Paulin

ランス人インテリアデザイナー、ピエール・ポラン(Pierre Paulin)の作品集。前衛的デザイナーであり建築家の作者は、ジョルジュ・ポンピドゥー(Georges Pompidou)やフランソワ・ミッテラン(François Mitterrand)などのフランス歴代大統領のために「エリゼ宮殿」(フランス大統領官邸)の私室の内装を手がけたと思えば、主婦のためのスチームアイロンからジェットセッターのための洗練された空港ラウンジ、クレージュの香水瓶まで、あらゆるもののデザインを手がけた。「オレンジスライスチェア」や、貝殻の形を模した「オイスターチェア」、フレンチキスのような座り心地の寝椅子「タンチェア」などの名作家具は、一つの世代の人々の無意識に深く刻み込まれている。これらは、作者をポップなデザイナー、ミッドセンチュリーデザインの秩序ある抑制を打ち破る60年代の破壊者として、その支配的な観念を植え付けた。作者は、カラフルな伸縮性ジャージ張り地で作品を包み、作品を柔らかくし、内部の鉄や木材を隠すという革新的な方法を用いた。作者の椅子は、カジュアルでキネティックな拡がりを持っており、リラックスしてくつろぐことを誘うだけでなく、1960年代後半のパリの熱を表現している。

本書は、作者の家族の協力を得て出版され、そのデザインにおける美学を的確にとらえている。著者のナディーヌ・デサンドュ(Nadine Descendre)は、豊富な未発表資料の数々から、鮮明なドローイング、模型、写真などを通じて、20世紀半ばのデザインを代表する総合芸術家の活発的なエネルギーを明らかにする。

アメリカやフランスの企業のために数多くの家具や照明デザインを手がけたほか、自動車メーカー「ルノー(Renault)」、航空会社「エールフランス」、フランス公共ラジオ「メゾン・ド・ラ・ラジオ」、シリア・パルミラのホテル、「エリゼ宮」内(アメリカで言えば「ホワイトハウス」)にある私邸の応接間、ダイニングルーム、サロン、シガールームなど、さまざまなクライアントの依頼を遂行してきた。新しい素材の可能性に関心を持った作者は、モダニストであると同時に伝統主義者でもあり、扇風機やカミソリ、フォンデュ鍋といった日常品のデザインするのも、ミッテラン大統領のための細部にまでこだわった家具を作るのも、どれも等しく丁寧に作り上げてきたデザイナーであった。

by Pierre Paulin

REGULAR PRICE ¥12,100  (tax incl.)

hardcover
240 pages
263 x 280 mm
color, black and white
2016

published by VENDOME PRESS