CHRISTIAN MARCLAY by Christian Marclay

アメリカ人ミュージシャン、アーティストであるクリスチャン・マークレー(Christian Marclay)の作品集。2022年11月から2023年2月にかけてパリの「ポンピドゥーセンター(Centre Pompidou)」で開催された展覧会に伴い刊行された。作者は、サンプリング、シャッフル、モンタージュを中心に、1970年代末から音の世界に軸足を置いて活動している。24時間の映像インスタレーション「The Clock」(2010年)でヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞した作者は、ポピュラー音楽、前衛音楽、ハリウッド映画、実験映画のあらゆる側面に同様に関心を寄せている。フルクサスのヴィジョンやポップな精神を受け継ぎ、アメリカの前衛美術を代表するジョン・ケージ(John Cage)やアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)を継承する作者は、40年以上にわたり、コラージュ、アッサンブラージュ、インスタレーション、映像、写真、絵画、版画を通して、視覚芸術のあらゆる可能性と視覚と音の現象の関係性を探求している。またパフォーマーとして、数々の音楽プロジェクトに参加し、レコードとターンテーブルをお気に入りの楽器としている。

本書では、その反響と人気が時を経ても衰えることがない、作者の重要かつオープンなマルチメディア作品について深く掘り下げている。1970年代初期のパフォーマンスから、象徴的な作品として挙げられる『Guitar Drag』(2000年)、そして『All Together(2018年)や『Subtitled』(2019年)といった新作の大規模映像インスタレーションまで、レコードとそのジャケット、あらゆるフォーマットの写真、改造楽器、映像、プリントと絵画を組み合わせた作品、オブジェ、「グラフィック・スコア(図案楽譜)」などのアッサンブラージュは、合唱的で断固として多形的な作品群の結合組織であり、絶え間なく進化し続ける。それは、我々の存在の聴覚的な次元を、文字通りのものであれ、静かに呼び起こすものであれ、常に主張し続ける実践である。

ロンドンを拠点とするデザインスタジオ「Zak Group」がデザインを手がけた本書は、翻訳家・作家のポリー・バートン(Polly Barton)、詩人のナタリー・キンターヌ(Nathalie Quintane)、美術史家のミシェル・ゴーティエ(Michel Gauthier)、ポンピドゥセンターのチーフキュレーターを務めるマルセラ・リスタ(Marcella Lista)、デザイン専門家のカトリーヌ・ド・スメット(Catherine de Smet)による新しいエッセイを集め、作者の活動に新たな視点を与える。また、本展のキュレーターを務めたジャン=ピエール・クリキ(Jean-Pierre Criqui)による包括的な内容を語る作者との対談、クレマン・シェルー(Clément Chéroux)、デニス・クーパー(Dennis Cooper)、ジャン=ピエール・クリキ(Jean-Pierre Criqui)、ウェイン・ケステンバウム(Wayne Koestenbaum)、デイヴィッド・トゥープ(David Toop)という世界的に活躍目覚ましい作家や美術史家が書き下ろしたテキストの選集を収録するほか、美術史家のアナリサ・リマウド(Annalisa Rimmaudo)による詳細な年表も掲載している。

by Christian Marclay

REGULAR PRICE ¥9,570  (tax incl.)

hardcover
256 pages
215 x 280 mm
color, black and white
2022

published by JRP|EDITIONS