LILIES & OBJECTS by Sabine Moritz

ケルンを拠点に活動するドイツ人アーティスト、ザビーネ・モーリッツ（Sabine Moritz）の作品集。2010年に出版したバラの作品集『ROSES』に続き、本作では作者が1990年代半ばから描き始めたユリに着目している。木炭、パステルやオイルパステルを使用しながら紙に描いた59点のドローイング集では、前作と同じく観察力や表現の研究、または、習作として取り組んでいることが多い。

ユリのドローイング集として構想された本書の制作過程で、作者はユリとともに制作中であるオブジェのドローイングを紹介する着想を得た。そのオブジェは主に彫像、小像が用いられており、古典的なトルソー、アフリカの小さな像、仏頭など様々な時代にわたる手作りの芸術作品である。

作者が描くオブジェのドローイングには、様々な考えや表情、雰囲気や感情が反映されている。ユリと並べられたオブジェは、時間、生と死、信仰、真実、心理、そして芸術の制作プロセスそのものについて疑問を提起している。

我々が芸術を創造する原動力となっているものは何か、そして、これは我々自身や、我々が創造する文明について一体何を示すのか－