ALBERTO GIACOMETTI | YVES KLEIN: IN SEARCH OF THE ABSOLUTE by Alberto Giacometti, Yves Klein
スイス人アーティスト、アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)とフランス人画家のイヴ・クライン(Yves Klein)による作品集。2016年4月から6月にかけてロンドンのギャラリー「ガゴシアン(Gagosian)」で開催された展覧会に伴い刊行された。本展は、フランス人キュレーターのヨアヒム・ピサロ(Joachim Pissarro)によって企画され、両作者の主要作品を組み合わせて観せた初の展覧会である。二者は一世代を隔てて生まれたため、一見するとこれ以上ないほど異なる。ジャコメッティは物質的なフォルムと具象的な表現の巨匠である一方、クラインは概念的なものと宇宙的なものを結合させた芸術を生み、世に大きな影響を与えた理論家である。2冊セットで制作された本書は、第二次世界大戦とその余波がヨーロッパ文化に及ぼした壊滅的な影響に対する鋭い意識という、二人の作者に共通するものを探求している。両者の概念、並びに制作プロセスにおいて、「無」は「空虚」であり、無限の可能性を秘めた空間であった。
第1巻では、キュレーターのピサロとアメリカ人美術史家であるダニエル・ピーターソン・サールズ(Danielle Peterson Searls)、フランス人美術史家、セシリア・ブラスキ(Cecilia Braschi)、イギリス人美術史家、リチャード・カルボコレッシ(Richard Calvocoressi)による書き下ろしのエッセイが収まっているほか、「ジャコメッティ財団(Giacometti Foundation)」ディレクターであるキャサリン・グレニアー(Catherine Grenier)とピサロ、そしてイヴ・クライン財団会長のダニエル・モッケイ(Daniel Moquay)とピサロの対談も収録している。また、イタリア人作家のディノ・ブザーティ(Dino Buzzati)、フランス人美術批評家・美術史家のピエール・デスカルゲス(Pierre Descargues)、日本人哲学者の矢内原伊作による未訳テキストも収録。これらのテキストには、詳細な年表と、両作者の多数のアーカイブ画像が添えられている。第2巻には、展示作品のカラー図版とインスタレーションの展示風景写真を収録している。