イギリス人アーティスト、ダミアン・ハースト（Damien Hirst）の作品集。2019年のロンドンのギャラリー「White Cube」での個展「Mandalas」開催に合わせて刊行された。「Concentric Paintings」シリーズの新作を収録。「Kaleidoscope」シリーズで用いた万華鏡のテーマから派生した本シリーズは、宇宙を象徴する「曼荼羅」からインスピレーションを得ている。円形のキャンバスを多用し、家庭用の光沢塗料を背景とし、同心円状に広がる精緻なパターンを美しい色合いの蝶の羽で描いている。ブックデザインは、作者と長年コラボレーションを行なってきたジェイソン・ビアード（Jason Beard）が担当。各作品の決め手となっている色を背景にして全体像を細かく配置することで、絵画とブックデザインが混然一体となった素晴らしい作品集に仕上がっている。「Mandalas」シリーズを構成している色と質感の豊かさを余すところなく体験できる1冊。

ケンブリッジ大学ジーザス・カレッジ英文学部現代英文学科長兼芸術委員会キュレーターであるロッド・メンガム博士（Dr Rod Mengham）によるエッセイでは、様々な意味を象徴する蝶をモチーフに使った歴史上の芸術家やアーティストの系譜の中で本作品群を捉えている。