RUTH ASAWA THROUGH LINE by Ruth Asawa
アメリカ人彫刻家でありアーティストのルース・アサワ(Ruth Asawa)の作品集。2023年9月から2024年1月にかけてニューヨークの「ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)」、2024年3月から7月にテキサス州・ヒューストンの「メニル・コレクション(Menil Collection)」で開催される巡回展覧会に伴い刊行された。本展は、作者の多面的な芸術表現において「描く」という行為がいかに重要な構成要素であったかをこれまでにない形で探る。
作者はループ状にしたワイヤーを用いた彫刻作品で広く知られているが、ドローイングも習慣的に描いていた。スケッチブックのページを埋めてはまた次のスケッチブックを埋め尽くし、ドローイングが彫刻作品の中心であるとさえ明言していた。本書は、作者のキャリアを通した全作品におけるドローイングの重要性を深く考察する初めての刊行物であり、素材や技法を超えたその美意識の舵取りの幅広さ、いかにして作者がサンフランシスコ・ベイ・エリアのアートコミュニティと結び付いたか、オーガナイザーや教鞭を執る者として公教育への貢献へと繋がったのか、そして
ジョセフ・アルバース(Josef Albers)の教育学と、作者が生涯にわたりアルバースによる紙の折りを用いてきたことなどに焦点を当て、エッセイとして収録する。
第二次世界大戦中における日系アメリカ人強制収容所での最初の正式な美術授業から、「ブラック・マウンテン・カレッジ(Black Mountain College)」で過ごした時間、そしてその後に至るまで、作者の
芸術が歩んだ旅路を遡る本書は、100点以上にわたる図版を含む、作者のドローイングにまつわる包括的な概説書である。
記事:ルース・アサワ – 線が彫刻になるとき(TOKION)