UPTOWN by Alice Neel

アメリカ人アーティスト、アリス・ニール(Alice Neel)の作品集。本書は2017年にニューヨークの「David Zwirner」、ロンドンの「Victoria Miro」で開催された作者の展覧会に伴い刊行された。家族、友人、作家、詩人、アーティスト、学生、歌手、店員、活動家、その他様々なポートレイトを描いたことで知られている作者の創り出す絵画は率直かつ親密であり、時にユーモアにあふれ、政治的ないし社会的問題を静かに示唆する。

本書は、作家、キュレーターであるヒルトン・アルス(Hilton Als)によって集められたアフリカ系アメリカ人、ラテンアメリカ人、アジア人、そしてその他有色人種を描いた絵画、紙作品を初めてまとめた一冊である。作者のアプローチにおける内在的な多様性に光を当て、美術史に並ぶ肖像画の名作から取り残された人々を取り上げ、非凡な画家である作者がいかに彼らを捉えたかを考察する。「彼女を魅了したのは、彼女が出会った人間の雄大さなのだ」とアルスは評する。

本書は「アリス・ニール・エステート(The Estate of Alice Neel)」の顧問であるジェレミー・ルイソン(Jeremy Lewison)の序文に始まり、ニューヨークのアップタウンの多様性や周囲の様々な人々に対して作者が抱いた関心を探求する。ポートレイト群には、脚本家であり女優、作家のアリス・チルドレス(Alice Childress)、社会学者のホレス・R・ケイトン・ジュニア(Horace R. Cayton, Jr.)、コミュニティ・アクティビストのメルセデス・アローヨ(Mercedes Arroyo)、著作が広く知られる学者のハロルド・クルーズ(Harold Cruse)などの著名な面々から、看護師、バレエダンサー、タクシードライバー、ビジネスマン、作者の使い走りを務めた地元の子供など名もなき人物まで、多種多様なポートレイトが収録されている。

アルスはその特有の語り口で一部の作品について短くもわかりやすいテキストを著し、独自の見解を交えつつ、各モデルの歴史と作者とその作品についての洞察を述べている。本企画は作者の作品群に対する現代的かつアルスの個人的なアプローチであり、「ニールが見たものだけではなく、その視点の寛容さを敬いたいという試みである」。

by Alice Neel

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
144 pages
216 x 267 mm
color
2017

published by DAVID ZWIRNER BOOKS