TRA GLI ALBERI (AMONG THE TREES) by Jonathan Monk
イギリス人アーティスト、ジョナサン・モンク(Jonathan Monk)の作品集。
本書は、作者の作品シリーズ「Salvo Trees」をまとめた一冊。「サルヴォ」として知られるサルヴァトーレ・マンジオーネ(Salvatore Mangione)(1947年 - 2015年)はトリノに在住したイタリア人アーティストである。1960年代初期に絵画を描き始め、安価なポートレイト画、風景画、そしてレンブラントやゴッホの贋作を売って生計を立てていた。
本書には、同じようにして、サルヴォが描いた木や風景がさまざまな素材上に作者によって複製されている。本シリーズはA4紙にインクジェットで印刷されたサルヴォの絵から始まり、そこに作者がグワッシュ絵具や水彩絵具を乗せて単純化されたイタリアの風景を描いている。結果として、「Salvo Trees」は抽象的なフィールドに浮いているように見える。コンセプトの解釈はより広がりを見せ、キャンバスにプリントされたサルヴォの絵画をアクリルでなぞる作品へと繋がった。そしてこの作品群が初めて展示されたのはトリノにあるサルヴォの古いスタジオである。インクジェット印刷を続けるのち、「Salvo Trees」はファッション誌、広告や家具のカタログに現れ始め、作者はコラージュや現存のイメージの並列を元とする制作を追求していった。雑誌のトーンや被写体が、サルヴォの絵の複写のトーンを決めたと言える。
作者によると、アーティストとはよく一つのアイディアや制作方法を思いつくと、それに固執しがちであると言う。本書は、ルールに従い、ルールを破るべきであるアーティストという存在の制作に対する信条となるのである。木一本につき印刷物は100ユーロ、キャンバスは500ユーロと、作品には妥当な価格がつけられている。食事のレシートに作品を複製し、レシートに記載された価格で販売する作者の「レストラン・ドローイング(Restaurant Drawing)」を知っている者にとっては既にお馴染みの値付け方法である)。
「金のなる木はない」 – ジョナサン・モンク