BASTARD COUNTRYSIDE by Robin Friend

イギリス生まれ、オーストラリア育ちであり、現在はロンドンを拠点として活動するフォトグラファー、ロビン・フレンド(Robin Friend)の作品集。フランス文学界の大巨匠ヴィクトル・ユーゴーが「2つの異なる性質が交じり合う、そこはかとなく奇妙で醜いろくでもない田舎(bastard countryside)」と呼んだ風景についての考察として、15年に渡りイギリスのランドスケープを探索した作者の集大成ともいえる一冊。都市でもなく田舎でもない曖昧さが漂う、荒れるにまかせた辺境の土地を撮ったシュールな大判のカラー写真には、汚染の爪痕も生々しい、誰にも顧みられることのない今ここにある現実と牧歌的な荘厳さとの摩擦がくっきりと浮かび上がっている。クラシカルな風景写真の様式を出発点とする緻密な5x4の写真において、作者は極端な色や構成の強調を効果的に使用し、理想的なイギリスののどかな風景という概念と現在のリアリティの間の不和を表現した。特に汚染物質の流出、あるいは自然が破壊され力を奪われたことによって、風景から連想される物語が荒々しく断ち切られる瞬間を追いかける。作家のロバート・マクファーレン(Robert Macfarlane)は本書に収録されたエッセイの中で本作に対し「清浄さや卓越性ではなく、異なる要素を寄せ集め絡み合わせて作りだされた人工的な『現代の自然』を描き出した秀逸なヴィジョン」と評する。作者のイメージは、「体験してみたい、住んでみたい気持ちにさせる風景とはどのようなものか、『現代の自然』に守っていく価値を持つものがあるとすればそれはどのようなものか、その理由はなにかというような難しい問題」を問いかけているという。

by Robin Friend

REGULAR PRICE ¥7,480  (tax incl.)

hardcover
104 pages
240 x 270 mm
color
2018

published by LOOSE JOINTS