REMEMBERING A DANCE – PART OF SOME SEXTETS 1965/2019 by Yvonne Rainer
ニューヨークを拠点に活動するアメリカ人ダンサー、振付家、映画監督であるイヴォンヌ・レイナー(Yvonne Rainer)の作品集。1965年に発表された、マットレス12枚とパフォーマー10人からなるパフォーマンス作品「Parts of Some Sextets」は、作者の転機となった作品である。自身が「マットレス・モンスター」と呼んだその作品は、ニューヨークのダウンタウンで実験的な集団、「ジャドソン・ダンス・シアター(Judson Dance Theater)」を結成した時期に築かれた。本作では、ナラティブの構成を考慮せず、「日常的な」行為への探求を主張し、30秒ごとに新たなシーンが展開する複雑な振付を作り上げている。初演から半世紀以上の時を経て、作者は振付家兼ダンサーのエミリー・コーツ(Emily Coates)とのコラボレーションにより、2019年に開催されたニューヨークの「パフォーマ19ビエンナーレ」のために再演を指揮し、作者の先鋭的なパフォーマンスの新たなプレゼンテーションが変化する文脈に向け取り組んだ。本書は、このダンスの原型から再構成まで、あらゆる側面を掘り下げている。アメリカ人アーティストのニック・マウス(Nick Mauss)によりデザインされた本書は、1965年にニューヨークの「ジャドソン記念教会(Judson Memorial Church)」とコネチカット州・ハートフォードの「ワズワース・アテネウム美術館(Wadsworth Atheneum Museum of Art)」で上演された際に記録された未発表のアーカイブ写真と資料が収録されている。また作者や、エミリー・コーツ、美術史家のローズリー・ゴールドバーグ(RoseLee Goldberg)、フェミニスト作家であり文化評論家のジル・ジョンストン(Jill Johnston)、キュレーターのキャシー・ノーブル(Kathy Noble)、パフォーミング・アーティストのデイヴィッド・トムソン(David Thomson)、小説家のリン・ティルマン(Lynn Tillman)、美術史とヴィジュアル・スタディで教鞭を執るユン・ソヨン(Soyoung Yoon)によるテキストが掲載されているほか、作者の新たなインタビューでは、ダンスの生涯とその後をたどりながら、作品、パフォーマー、観客の軌跡について問いかける。