ANTIGONE by Tacita Dean

ベルリンを拠点として活動するイギリス人アーティスト、タシタ・ディーン(Tacita Dean)の作品集。スイスのバーゼル美術館(Kunstmuseum Basel)で2021年8月から2022年1月日まで開催された展覧会に伴い刊行された。

1時間の長編大作である本作は、神話上の登場人物、個人の歴史、偶然が絡みあう物語を紡ぎ出す作者の非凡な才能を物語っている。技術的に汎用性が高く、ざらざらとした質感が美しい35mmのアナログフィルムを作者は好んで用いる。多才であるがゆえ、作者は映像にとどまらず、写真、版画、文章など他のジャンルや技法にも精通している。

作者は本作のアイデアを長い間温めてきたという。タイトルである「ANTIGONE(アンティゴネ)」は自身の姉の名前でもあり、古代ギリシア三大悲劇詩人であるソフォクレスの作品に登場する悲劇のヒロインでもある。オイディプス王の神話に初めて出会った日から、作者は幕間に置かれた場面で起きていることを想像してきたという。その間に、追放された盲目の王は、自分の娘であり妹でもあるアンティゴネに付き添われて荒野をさすらう。

「『Antigone』は、どの瞬間を切りとっても混沌としていて、複雑で、面白い。そこには言葉とイメージ、場所と雰囲気が混然一体となった豊かな世界が広がっている
– エイドリアン・アール(Adrian Searle / 美術評論家) The Guardian

by Tacita Dean

REGULAR PRICE ¥5,500  (tax incl.)

hardcover
128 pages
215 x 310 mm
color, black and white
2021

published by WALTHER KÖNIG