HENRI MATISSE & JONAS WOOD by Henri Matisse, Jonas Wood
フランス人アーティスト、アンリ・マティス（Henri Matisse）と、ロサンゼルスを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、ジョナス・ウッド（Jonas Wood）の作品集。2023年2月から3月まで、スイスのグシュタードにある「Tarmak22」で開催された展覧会に伴い刊行された。キュレーターであり、美術史学者であるヘレン・モールスワース（Helen Molesworth）のテキストを収録。
本展は、尊敬すべきフランス人モダニズムアーティストであるアンリ・マティスと、ロサンゼルスを拠点とする現代アーティスト、ジョナス・ウッド二者の作品を初めて集結させたものとなる。大陸を超え、一世紀もの時に隔てられた両者の作品の組み合わせは、そのテーマと形式の一致とともに、美術史に対して変わることのない関係性を描いている。
本ギャラリーとウッドによって行われた初のコラボレーションとして、本展示では、2022年に制作された4点の新作絵画を含むウッドの絵画やドローイング作品と共に、マティスによるモダンな絵画作品も紹介する。
マティスとウッドの両者は、日々の生活の穏やかな瞬間から主題を引き出しており、展示された作品からは、類似した着眼点が見受けられる。これらの作品にはゆったりとした日常の景色や、青々とした熱帯の葉群や鉢植え、窓枠に収められた外の風景が多く登場する。だが、両名の意図は写実的な幻想にはなく、その絵の精密さよりも、むしろ感性的な調和が強調されている。両者が共有しているモダニズム的美学の傾向は、それぞれの作品の特徴となっている、色や空間、パターンの奔放な交錯に表れている。家の中を舞台としたものでは、壁紙や布地、木材の抽象的で波打つようなパターンや、家具や扉の造形の幾何学的平面の描写、観葉植物のフィロデンドロンを描く人間のような輪郭が、等しく象徴的に表現されている。これら作品群を繋ぐ明白な関係性によって、マティスの革新的なスタイルがウッドの活動に与えた根本的な影響に、光が当てられているのだ。
