メキシコ人アーティスト、ガブリエル・クリ（Gabriel Kuri）の作品集。本書は2023年6月から10月までメキシコの「ジュメックス美術館（Museo Jumex）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

本作は、未来を予測、分析、管理しようとする際に用いる様々な文化的、政治的、経済的分野からインスピレーションを得ており、理性的な領域と感情的な領域の関係を反映しうる潜在的な可能性を持つ存在として彫刻を用いて制作している。ありふれた素材やイメージ、ハイブリッドなオブジェを形式的かつ詩的に並置することで、作者は現代文化の隙間に分け入っていく。そこでは、行動と推測的な考えが互いに作用し合い、我々の時代におけるしばしば矛盾した価値観に対する理解を形作っている。

この作品において未来とは、来るべきものを想像することではなく、現在を先延ばしにすることとして捉えている。ありふれたものや秩序を整えているシステムを再考することで、型にはまらない角度から観察した時に見慣れた状況が変化していく可能性を切り拓く。

本書は、本展のキュレーターであるキット・ハモンズ（Kit Hammonds）とメキシコ人作家ガブリエル・ジャウレギ（Gabriel Jauregui）による作品に対する新たな批評的・創造的なテキストと、本書のデザイナーを務めたサラ・デ・ボント（Sara De Bondt）とのコラボレーションによるビジュアル・エッセイとして編集された作品の記録と並行して、作者が探求する潜在的なテーマをさらに掘り下げる。