ADDENDA TO A SEQUENCE OF APPEARANCES by Walead Beshty

ロサンゼルスを拠点に写真、スカルプチャー、言葉を用いて活動するイギリス人アーティスト、ワリード・ベシュティ（Walead Beshty）の作品集。

自己言及的であり、遊び心に溢れ、想像力に富む本書は、2022年4月から5月にかけて「トーマス・デイン・ギャラリー（Thomas Dane Gallery）」での開催を皮切りに、ヨーロッパ各所を巡回した展覧会の記録であり、作者の主要作品のガイドブックでもある。

工程を紐解くことは作者の作品の要である。「フェデックス（FedEx）」の銅製作品シリーズ、または『Copper Surrogate』シリーズなどには酸化や人の手が触れた痕跡を意図的に作品に取り込んだり、「Industrial Portraits」では展覧会に関わった人々を撮影している。

出版社「HURTWOOD」のディレクターであるフランシス・アッタベリー（Francis Atterbury）、ブックデザイナーのビリー・テンプル（Billie Temple）、「トーマス・デイン・ギャラリー」のパートナーであるフランソワ・ションタラ（Francois Chantala）による寄稿、また法社会学の先導研究者であるカルロ・デ・リタ（Carlo De Rita）による示唆に富むエッセイが収められ、その濃密な内容がありのままの作品の存在を提示している。

「手に持つものとしてだけでなく、共有される物として」、本に記号論的なアプローチを採用することで、本書は伝統的でありながらも、型破りな本の典型、類型、慣例を受け入れ、現代のブックメイキングでは珍しい印刷と出版方法を用いている。