アメリカ人アーティスト、ラシード・ジョンソン（Rashid Johnson）の作品集。本書は、ニューヨークの「ハイライン（The High Line）」にて2015年に公開された作者のパブリックアート作品「Blocks」を記録した図版を掲載した図録。本作は「High Line Art」によるコミッションで制作された、作者にとって初となるパブリックアートである。

「ハイライン」は、マンハッタンのウェストサイドに位置する、使われなくなった高架貨物線路を2006年から2014年にかけて再開発した、1.45マイル（約2.3km）におよぶ空中庭園である。設計はオランダ人園芸家のピート・ウードルフ（Piet Oudolf）が手掛けている。2015年に制作されたこの「Blocks」は、棚のようなグリッド状の黒いスチール製の構造で、その中に鮮やかな黄色の胸像が複数収められている。本書は、この作品が「ハイライン」の緑豊かな自然環境と相互作用しながら発展、進化する様子を写真で捉え、包括的に記録している。設置された1年間の流れの中で、作品のグリッド構造の中には様々な種類の植物が育ち、季節の移りかわりに伴い作品の様相が変化していく。これらの写真は、楽観、失敗、再生、そして荒廃といったテーマに触れながら、人工的な建造物と自然環境の間にある、時間が限定された関係性の詩的な性質を表現している。

作者と「High Line Art」のチーフ・キュレーターを務めるセシリア・アレマーニ（Cecilia Alemani）が対談し、本作の誕生、そして公共の場における作品制作に対する作者のアプローチについて焦点をあてている。