ドイツ人デザイナー、コンスタンチン・グルチッチ（Konstantin Grcic）の作品集。2022年にベルリンの「ハウス・アム・ヴァルトゼー（Haus am Waldsee）」で開催した展覧会に伴い刊行された。作者は30年以上にわたり、日用品において複雑であり時に革新的なデザインを生み出してきた。本展では、作者がデザインした物の本来の機能から離れることに留まらず、物が他の可能性を広げられる新たな世界を示している。展覧会では、工業デザイナーである作者がデザインした作品が現代の資材や日用品と触れ合う環境を見せている。

我々の日常生活には、少し前まではほとんど理解不可能であったものや習慣が今では当たり前のようにある。デスクに置かれたスマートフォンは現代において我々にとっては珍しくない物質であるが、この平らなデザインは過去の者たちにとっては不可解なものである。このように我々の現実は繰り返し物と物に紐づく行動により変わっていき、生活は常に物の使用と日常性によって変化していく。

本書は、本展のキュレーターであるルードヴィッヒ・エンゲル（Ludwig Engel）、アンナ・ヒンメルスバッハ（Anna Himmelsbach）と作者とのインタビューや、ドイツ人写真家フロリアン・ベーム（Florian Böhm）による写真が収録されている。