PHOTOTROPHY by Thomas Demand

ベルリンとロサンゼルスを拠点に活動するドイツ人アーティスト、トーマス・デマンド(Thomas Demand)の作品集。2004年9月から11月にオーストリアの「ブレゲンツ美術館(Kunsthauz Bregenz)」で開催された大規模展覧会に伴い刊行され、1993年から2004年にかけて制作された作品66点を収録している。

作者の写真作品は、キッチン、コピーショップ、駐車場など、一見すると日常的な空間を捉えているように見えるが、よく観察すると現実世界のの再現であることがわかる。作者は、紙や段ボールを使用して細部まで正確な原寸大の環境を精巧に創り出し、その「再現物」を写真に撮って封じ込め、撮影後にはそれを破壊する。そのようにして生まれた写真は、現代におけるオフィスの世界や建築が持つ無味無臭の殺風景な美学を的確に指摘している。

彫刻的であり、映画のようなこのシミュレーションは、人の気配も排除されており、その模型の世界へと我々を誘う。ここにある「偽り」の現実は、現実における記憶と混ざり合い、鮮明かつ平然としたイメージを生み出し、マルチメディア時代において重要な役割を果たすバーチャル・リアリティの概念について考察する。本書は、アメリカ人キュレーターのラルフ・ルゴフ(Ralph Rugoff)とドイツ人作家のジュリア・フランク(Julia Franck)によるエッセイ(独英語バイリンガル)も収録。

by Thomas Demand

REGULAR PRICE ¥13,200  (tax incl.)

hardcover
128 pages
370 x 310 mm
color
2004

published by SCHIRMER MOSEL