THE STUTTER OF HISTORY by Thomas Demand
ベルリンとロサンゼルスを拠点に活動するドイツ人アーティスト、トーマス・デマンド(Thomas Demand)の作品集。作者の生み出してきた作品群のうち、4つの重要分野に光を当てた、2022~2024年にかけて世界各地を巡回する回顧展に伴い刊行される包括的な作品集。この25年間、現代のイメージ文化の土台である写真を用いて行ってきた世界の記録と、我々が暮らす世界との間のフィードバック・ループを表現する彫刻家・写真家として才能を発揮してきた。長いキャリアを通じて生み出された多彩な写真作品を一堂に会した本書は、その世界観を概観しつつ、イメージの世界を通じて我々が日々消費している膨大な数の歴史的な事象にどのようにアプローチすべきかを示唆している。この1冊から、作者の芸術家としての成果の幅広さと深さはもちろん、世界有数の現代作家の1人とみなされている理由が理解できる。
受賞歴を誇るスコットランド人作家アリ・スミス(Ali Smith)が作者の作品への答えとして書き下ろした短編小説、本展覧会のキュレーターであるダグラス・フォーグル(Douglas Fogle)による解説エッセイ、美術史・美術論・現代美術学者のマーガレット・イヴェルセン(Margaret Iversen)のエッセイを収録。
回顧展は、上海の「ユーレンス現代美術センター上海館(UCCA Edge)」(2022年4月2日~6月19日)、台北の「台北市立美術館(Taipei Fine Arts Museum)」(2022年7月30日~10月30日)、パリの「ジュ・ドゥ・ポーム国立美術館(Jeu de Paume)(2023年2月~5月)、エルサレムの「イスラエル博物館(The Israel Museum, Jerusalem)」(2023年7月~2024年1月)、テキサスの「ヒューストン美術館(The Museum of Fine Arts, Houston)」(2024年6月~9月)を巡回する。