ネガエロポリス 右眼墓地 / NEGAEROPOLIS UGANBOCHI by Nobuyoshi Araki
日本人写真家、荒木経惟の作品集。2015年にラットホールギャラリーで開催された展覧会「ネガエロポリス 右眼墓地」に伴い刊行された。
以下プレスリリースより抜粋
ラットホールギャラリーでは2015年9月26日(土)より10月27日(火)まで、
荒木経惟展「ネガエロポリス 右眼墓地」を開催いたします。当ギャラリーで10回目の荒木展となる本展では、カラーとモノクロの新作約70点を展示いたします。
本展では2つの新作シリーズ、「ネガエロポリス」と「右眼墓地(うがんぼち)」が発表されます。「ネガエロポリス」は、都市やヌード、花や人形などを撮影したネガフィルムを、ポジ(陽画)に反転させることなく印画紙に焼き付けたカラー写真のシリーズです。明暗と色彩が反転したネガ(陰画)の状態のままのイメージは、色鮮やかながらも、どこか翳りを感じさせます。「ポジとネガは、生きることと死ぬことと同じようなもの」と荒木が言うように、「ネガエロポリス」には陰陽、生死といった表裏一体なものへの荒木の強い意識と彼の死生観を見てとることができます。
「右眼墓地」は、墓地を中心とする東京の街を、レンズを叩き割ったカメラで撮影したモノクロ写真のシリーズです。叩き割られたレンズ越しに写されたイメージは、此岸から彼岸を眺めるようにも、また、視力をほぼ失った荒木の右眼の視界を再現しているようにも見えます。本シリーズの写真にはすべて、終戦記念日の日付が焼き込まれており、戦後70年を迎えた東京の来し方行く末へ思いを馳せる荒木の姿を感じさせるとともに、都市が死に向かっているように感じるという現在の荒木の心境が映し出されています。
「近頃、街が墓場のように感じる」という荒木の両シリーズからは、荒木が写す対象に象徴されるエロスこそが、荒木にとっての都市(=メガポリス)であることを窺い知ることができます。