MAROCCO 1952/1953 by Cy Twombly
21世紀を代表するヴァージニア州生まれのアメリカ人アーティスト、サイ・トゥオンブリー(Cy Twombly)の作品集。本書は、作者とアメリカ人アーティストのロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)が1950年代にモロッコで撮影した写真とスケッチを収録した一冊である。
1952年秋、作者は「ヴァージニア美術館(Virginia Museum of Fine Arts)」から留学助成金を受け、初めてのヨーロッパと北アフリカへの旅に出る。カサブランカでラウシェンバーグが同行し、ふたりはマラケシュ、アトラス山脈、そしてタンジェへと旅をする。テトゥアンにいるアメリカ人小説家、ポール・ボウルズ(Paul Bowles)を訪ね、近隣の村やローマ時代の遺跡を訪ねる日帰り旅行に出かけた。作者は、そこで最初で最後の考古学的発掘調査を行う。1953年2月にローマに戻った作者は、「国立ルイジ・ピゴリーニ先史学民族誌学博物館(Museo Nazionale Preistorico Etnografico Luigi Pigorini)」で展示されている民族誌的な品々や部族の工芸品を研究し、スケッチした。これらのスケッチは、「北アフリカ・スケッチブック」という形で残されている。現存するこの旅の作品の多くは、アーティストたちが共有する二眼レフカメラのローライフレックスで撮影した写真と、ふたりが描いたスケッチで構成されており、「サイ・トゥオンブリー財団(Cy Twombly Foundation)」と「ニコラ・デル・ロッショ財団(Fondazione Nicola Del Roscio)」のアーカイブに保存されている。これらの作品は、作者があまり知られていないアフリカの地中海沿岸との親和性について、ユニークな視点を与える。