SILENCE by On Kawara

日本人コンセプチュアル・アーティスト、河原温(On Kawara)の作品集。言語、写真、情報のシステムをテーマに作品を作った河原温は、コンセプチュアル・アートの歴史における重要人物とされている。しかし、存在とは何かを探求する絵画を作り続けたことによって、河原は他とは一線を画していた。

本書は、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館で開催された、1964年以降の作品を集めた大規模な回顧展カタログ。その構成は、展覧会と同じく生前の河原との密接なコラボレーションによって作り上げられた。美術史、文学、文化人類学をはじめとする様々な分野の一流の研究者や批評家が河原の作品を論じたエッセイを多数収録。信頼できる詳しい解説と豊富なイメージで河原の作品の全カテゴリーが紹介されているが、このように包括的な情報が出版されるのは今回がはじめて。

Today」シリーズの日付絵画、「One Hundred Years and One Million Years」のカレンダー、「I Got Up」のポストカード、「I Am Still Alive」の電報、「I Read」の新しい新聞の切り抜き、「I Went」の地図、「I Met」のリストなど、1960年代半ばにスタートした様々なシリーズを代表するイメージを多数見ることができる。1970年に3か月間毎日描いた「97 Date Paintings」とその日の新聞を貼った外箱のイメージも含まれている。さらに、河原の代表作に先駆けてパリとニューヨークで制作された絵画やドローイング、河原の制作プロセスに関わる素材の貴重なイメージも収録。色違いで4種類の表紙がある。ジェフリー・ワイス、ダニエル・ビュラン、ホイットニー・デイビス、マリア・ゴフ、ベン・ハイモア、トム・マッカーシー、スーザン・スチュワート、アン・ホイーラーらのテキストを収録。

1933年に日本で生まれた河原温は、1950年代の戦後の東京でアヴァンギャルド派の主要メンバーとして活躍。後期シュールレアリスム派のスタイルで人物画を描いていた。1959年に日本を離れ、メキシコシティ、パリと渡り歩いた後、1964年にニューヨークに拠点を構える。1966年からは、カレンダー、地図、リスト、ポストカード、電報を通じて時間と場所を図式的に表現した作品のみを作るようになった。

2014年に亡くなるまで作り続けた代表作「Today」は、キャンバスのサイズ、色、画法まで厳密な規則に則って描かれた絵画シリーズ。常に旅をしていた河原は、136の都市で様々な言語の日付絵画を描いた。

by On Kawara

REGULAR PRICE ¥13,200  (tax incl.)

hardcover
264 pages
324 x 248 mm
color, black and white
2015

published by GUGGENHEIM MUSEUM