アメリカ人フォトグラファーのピーター・ヒュージャー（Peter Hujar）とイギリス人シンガー・ソングライターでありピアニストのエルトン・ジョン（Elton John）よる作品集。2022年9月から10月にかけてサンフランシスコの写真専門ギャラリー「フランケル・ギャラリー（Fraenkel Gallery）」で開催された展覧会に伴い刊行された。伝説的なミュージシャンであるエルトン・ジョンが、偉大なる一人の写真家の、深くてこの上なく仄暗い作品に密なヴィジョンをもたらす一冊である。

2者の非凡な感性が合わさった本作は、1人のアーティストの眼が、もう1人のアーティストへいかにして光を当てることができるかを顕著にに証明している。エルトン・ジョンは、現代において最も尊ばれるパフォーマーのひとりとして世界的に知られているが、同時に熟練の写真作品コレクターでもあり、ピーター・ヒュジャーの業績を鋭く、かつ個人的にも理解している。

本書は、50枚の写真群を通じ、ピーター・ヒュージャーのキャリアを幅広く紹介している。ピーター・ヒュージャーの多方面におよぶ友人たちのポートレイト、象徴的かつ画期的なヌード作品、独特の趣を持つ風景写真、スティービー・ワンダー（Stevie Wonder）、ペギー・リー（Peggy Lee）、エドガー・ウィンター（Edgar Winter）らパフォーマー陣のポートレイト、そしてピーター・ヒュージャーが母親と共に写った動画など、約20年間にわたる作品が収録されている。

「ヒュジャーの人間性、深み、官能的な洞察は万人向けではなく、そうである必要もない。ただ、ひとたび彼の写真が君の血流に入り込んだら、もう振り払うことはできない。」－エルトン・ジョン