イギリス人アーティスト、トレイシー・エミン（Tracy Emin）の作品集。2019年2月から4月にかけて ロンドンのギャラリー「ホワイト・キューブ・バーモンジー（White Cube Bermondsey）」で開催された展覧会に伴い刊行された。オランダ人美術史家、キュレーターのルディ・フックス（Rudi Fuchs）とイギリス人美術評論家のジョナサン・ジョーンズ（Jonathan Jones）によるテキストとともに、彫刻、ネオン、絵画、写真、ドローイングを全面にディテールまで紹介する。

展覧会のタイトル「A Fortnight of Tears（涙の2週間） 」のタイトルにちなんで名づけられた本書は、母親の死をきっかけにした作者自身の痛みを表現しており、様々な媒体を通して死別や服喪の状態、そして変わらぬ愛情を思い起こさせる作品を収録している。新作の絵画作品には奔放な精力があり、作者はより自由でありながら主張の強いジェスチャーによる造形、テキスト、彫刻、映像を通して、感情の混乱を力強く刻み込んでいる。

長年作者とコラボレーションを行ってきたロンドンのデザインスタジオ兼出版社「FUEL」によってデザインされた本書は、作者の最近の展覧会の中でも最も開放的で、ありのままをさらけ出している本展に相応しい1冊に仕上がっている。