アメリカ人アーティスト、マイク・ケリー（Mike Kelley）の作品集。2008年4月から7月にかけて「ブリュッセル現代美術館（WIELS Contemporary Art Centre）」で開催された展覧会に伴い刊行された。1995年、作者は、自身が通った学校と育った家を融合させた作品「Educational Complex」を制作した。「思い出せなかった部分を全て残し、（...）モダニズムのコミュニティ・カレッジの模型のように」ある種総合的な環境と共に作られている。この模型の盲点は忘れられた（「抑圧された」）ゾーンをも表現していることである。制度を濫用している場所として作者にとって再定義され、それを表すために特定のトラウマが組み込まれて（それぞれに映像と彫刻の要素が用いられて）いる。作者にとって本作は、擬似的な自伝、抑圧記憶症候群、過去の作品の再解釈が、このようなコンプレックスと我々の関わり方、語り方を詩的に解体するための道具としており、一連のプロジェクトの始まりなのである。本作はこのシリーズをまとめた初刊行物であり、シリーズ内で紹介される各プロジェクトは、作者によるテキストや参考資料によってより広く記録されている。作家でありジャーナリスト、文化評論家のディードリッヒ・ディードリッヒセン（Diedrich Diederichsen）、現代美術論、美術史を専門とするハワード・シンガーマン（Howard Singerman）、アン・ポンテニー（Anne Pontégnie）によるエッセイでは、作品群の中での位置づけを考察している。