GOLD CUSTODY by Barbara Bloom & Ben Lerner
アメリカ人アーティスト、バーバラ・ブルーム(Barbara Bloom)とアメリカ人小説家・詩人のベン・ラーナー(Ben Lerner)によるコラボレーション作品集。
アーティストのブルームと詩人、批評家などマルチに活躍するラーナーの2人は、構築と再構築の織りなす繊細なドラマに魅せられている。関連性を定める特殊な基準が確立される時、あるいはそれが崩壊する時、言い換えれば離れ離れになっていたイメージやフレーズを再び出会わせ、別の文脈で読み解き、組み合わせたらどうなるだろう。何ページにも、あるいは何世代にも渡る繰り返しの中で、どのようにして意味が生まれ、徐々に失われていくのだろう。イメージや文章は、いかにして個人と集団の神話の構築に組み込まれ、あるいは突然そこから解き放たれるのだろうか。
ブルームの作品とラーナーの散文詩を集めた本書は、2人のアーティストによるコラボレーションから生まれた。研ぎ澄まされた感性で先述したような問いを感じ取り、「文法の展示室、その輝きと亡霊」、集合名詞、誰もが歌える歌詞のない歌といった抽象的な期待と、極端に個人的な言葉や視覚の言語の間を揺れ動きながら、美しい表現に昇華した。この他にも、偽の父親、虱(しらみ)、核果(かくか)、キャスパー・ラパポート、色の言葉、アレフ数、フォーエバースタンプ、ゲーテの廊下などの主題が登場する。
「芸術を外から押し付けられた枠から自由にすること、伝記、いわゆる『前衛的な敬虔さ』、私たちをがんじがらめにする物語といった概念を再考した作品。特にコラージュ、分割、繰り返しといったテクニックの使い方には、ここ1~2年の私たちの体験の仕方を思わせるものがある」– New York Review of Books
「ブルームは、細部に注目し、伝記の主人公である偉大な人物を人間らしく描こうとする文学的な伝記作家と同じアプローチを用いている…その作品は、あえて全てを語らず、書かれていないことに意味を見つけ出すことで機能する」– Frieze
「いつもと違う考え方や時代に挑戦したラーナーの文章を読み、彼が元々持っている深遠な才能が新しい主題、風景、能力として花開くのを目の当たりにするのは、本当に喜ばしい」– マギー・ネルソン(Maggie Nelson)