LATE LARGE FORMS by Henry Moore
20世紀のイギリスを代表するアーティスト、ヘンリー・ムーア(Henry Moore)の作品集。2012年5月から8月にかけてロンドンのギャラリー「Gagosian」で開催された展覧会に伴い刊行された。本展では、作者の大規模な彫刻作品が展覧され、その一部は初めて屋内で展開された。
「私がやることはすべて、大規模に作るつもりです・・・サイズそれ自体にインパクトがあり、物理的に、私たちは小さな彫刻よりも大きな彫刻により強く感情移入することができる。」―ヘンリー・ムーア
本書は、1960年から1981年にかけて作者が制作した9つの大規模な彫刻作品を紹介する一冊。作者の意図は、これらの大規模なフォルムが、対話したり、近くで見たり、そして触ったりできるようにすることだった。その重厚さと質量をさまざまな環境で感じられるようにするため、変化する光や季節、地形の影響を受けやすい屋外に置かれることがほとんどだった。白を基調とした制限のあるギャラリー空間では、彫刻の圧倒的なボリュームと巨大なサイズがより強く感じられる。潜在的なエネルギーにあふれ、豊かなテクスチャーの表面、官能的な波打つ弧や凹みが、新たな効果を生み出している。
本書には、ギャラリー内と「ヘンリー・ムーア彫刻庭園」があるペリー・グリーンの敷地内にある屋外の作品の写真が掲載されているほか、作者の制作過程に特化したセクションがあり、スタジオでの作者の様子や、9つの彫刻それぞれのさまざまなマケットや関連作品が紹介されている。また、イギリス人キュレーター兼美術史家のリチャード・カルボコレッシ(Richard Calvocoressi)による序文、「サンディエゴ美術館(San Diego Museum of Art)」の副館長を務める、アニタ・フェルドマン(Anita Feldman)とアメリカ人美術史家兼批評家、アン・M・ワグナー(Anne M. Wagner)によるエッセイも掲載。