韓国出身、ドイツと韓国を拠点に活動するアーティスト、ヤン・ヘギュ（Haegue Yang / 양혜규）の作品集。近年の作者の制作にあたり多く興味と影響を与えてきた、神聖な紙を切り抜き霊を吹き込む韓国のシャーマニズム儀式にまつわる作品を紹介する一冊。2022年10月から12月にかけてフランス・パリのギャラリー「Galerie Chantal Crousel」で開催された展覧会に伴い刊行された。

過去数年間、作者は精神（スピリット）と物質の間に生じる相反するものの両面性とその共存性（アンビバレント）について研究し、ヨーロッパの異教信仰からアジアのシャーマニズムに至るまで、多様な神秘的実践を調べてきた。近年、作者の関心はさまざまに異なる紙切り細工の伝統へと向き、特に楮（こうぞ）を原料とする伝統的な韓国の手漉き紙である韓紙（ハンジ）の神聖な特性に関しては、作者の作品「Mesmerizing Mesh」に深く関係している。

2022年、同展覧会で人類学者であるニコラス・ビューロー（Nicolas Bureau）と作者は出会い、のちに対談を行った。シャーマニズム、旅、アーティストたちと人類学者たちの立場、知識の領域間における境界を超えていくことについて、共に語り合っている。

英語、フランス語併記。