韓国出身、ドイツと韓国を拠点に活動するアーティスト、ヤン・ヘギュ（Haegue Yang / 양혜규）の作品集。2020年10月から2021年2月まで「マニラ現代美術・デザインミュージアム（Museum of Contemporary Art and Design (MCAD), Manila）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

コンセプチュアルな視覚言語と美しい語彙を織り交ぜた独創的な作品で知られる作者が手がけた本作は、天気予報で用いる、接近する嵐の進路を予測するグラフツールに由来し、迫り来る自然現象に立ち向かう人類の試みを表している。宇宙における自らの状況を理解しようとする人間の想像力という手段として、また困難な状況に直面している人々が結束しているという比喩的概念として、このコンセプトを探求している。本書では、デジタル処理が施された気象画像のレンチキュラープリントを背景に、擬人化された彫刻、光の彫刻、回転する鐘の音、つむじ風に由来する構造、テキスタイルの天蓋、サウンドエレメントなど、その複雑な物質の層に改めて出会うことができる。