THE LIGHTNING FIELD by Walter De Maria
アメリカ人の彫刻家で音楽家、ウォルター・デ・マリア(Walter De Maria)の作品集。本作は、作者が1979年にアメリカのニューメキシコ州の高地砂漠が広がる僻地にて制作したランド・アートである。毎年5月から10月にかけて公開されるこの作品は、高さ約6.5メートルの磨き上げられたステンレス製のポール400本が、約67メートル間隔で配置されている。見るだけでなく、歩いて回ることが可能な彫刻で、長期間にわたって体験出来ることを意図して制作された。
本書は、このランド・アートの傑作とそれを取り巻くニューメキシコ西部の環境を撮影した、これまで未発表であった写真を掲載している。作者と「ディア芸術財団(Dia Art Foundation)」の依頼を受けたアメリカ人写真家のジョン・クリエット(John Cliett)は、1978年と1979年の2シーズンに渡ってこの謎めいた作品の撮影を行った。しかし、これまでそのほとんど全ての写真は作者の書庫に保管されたまま日の目を浴びることは無かった。現地を訪れる際に24時間で辿る一般的なコースに沿って撮られたこの初公開の写真郡は、作品とそれを取り巻く環境の深い複雑性を明らかにする。
また、1980年にアメリカの現代美術専門月刊誌「Artforum」に掲載された作者によるテキスト「Some Facts, Notes, Data, Information, Statistics, and Statements」、作者や「ディア芸術財団」が保管してきたクリエットの自筆メモや報告書を含む未発表の重要資料、アメリカ人キュレーターでディア芸術財団ディレクターのジェシカ・モーガン(Jessica Morgan)による作者と写真の複雑な関係性についてのエッセイを収録。