VISIBLE LABOR by Gabriel Orozco

メキシコ人アーティスト、ガブリエル・オロスコ(Gabriel Orozco)の作品集。2015年にラットホールギャラリーで開催された展覧会「Visible Labor(目に見える労働)」に伴い刊行された。

以下プレスリリースより抜粋

ラットホールギャラリーは2015年11月20日(金)より2016年3月20日(日)まで、ガブリエル・オロスコの個展を開催いたします。東京都現代美術館で開催された大規模な個展が記憶に新しいオロスコですが、当ギャラリーでは作家自身が滞在制作を行ない、新作を発表します。

メキシコ生まれのガブリエル・オロスコは、メキシコシティ、ニューヨーク、パリをはじめとする世界各地で時を過ごし、2015年初頭からは東京に滞在しています。彼の作品は、ドローイングやペインティングから立体や写真まで、多岐にわたります。ファウンドオブジェや所与の状況を利用し、魅力的で予想もつかない方法、そしてときにはユーモラスな方法で、日常経験や偶然の発見から作品を生み出します。また、卓球台の中央部に正方形の睡蓮の池を設けた作品《Ping Pong Table》(1998)をはじめ、彼の多くの作品にはゲームやマッピング、幾何学への関心がはっきりと現れています。《Horses Running Endlessly》(1995)ではチェスゲームを、4色の木製チェス盤の上を自由に4つの「ナイト」が動き回るものへと変容させ、《La DS》(1993)ではシトロエンDSを3つに切断し、外側の2つを接合させて、オリジナルよりスリムな車へと変容させています。代表作でもあるペインティングシリーズ《Samurai Tree》では、円形と4つの軸線の構成が、幾何学と有機物を橋渡しする役割を果たしており、赤・青・金・白の4色からなる配列はチェスゲームの運動原理に基づいています。

今回のラットホールギャラリーでの展示では、廃材の梁や柱を用い、日本の伝統的な大工仕事である継手に焦点が当てられています。継手は、釘やボルトを使うことなく木材を接合させる技術で、精巧で入り組んだ労働の結晶、そして自然と幾何学が融合する地点でもあります。オロスコは建て壊された古民家やお寺の廃材を使い、その継手の部分、そしてそこに費やされた労働を目に見えるようにすることで、かつての建築空間や日本で何世紀にもわたって受け継がれてきた技術を、さらにはその思考プロセスへと目を向けることを促しています。
継手部分のほぞとほぞ穴をはじめ、水平性と垂直性、陰陽、物質と空間といった対比が並置されるオロスコの作品は、物質のなかに現れる時間の痕跡だけでなく、彫刻や空間の可能性の拡張が試みられていると言えるでしょう。

by Gabriel Orozco

REGULAR PRICE ¥9,900  (tax incl.)

hardcover
104 pages
195 x 265 mm
color
limited edition of 800 copies
2016

published by RAT HOLE GALLERY