ELLSWORTH KELLY (2023) by Ellsworth Kelly
アメリカの現代絵画の巨匠、エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly)の作品集。アメリカの現代絵画の巨匠、エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly)の作品集。2023年5月から2024年3月にかけてアメリカ・メリーランド州の「グレンストーン美術館(Glenstone Museum)」などで開催された大規模巡回展「Ellsworth Kelly at 100」に伴い刊行された。最も敬愛されるであろうアメリカ人抽象画家の革新的なキャリアを称えるものである。本書は作者の生涯を通じて制作され続けたドローイングの実践から、後のキャンバスパネルを何層も重ねる手法の探究に至るまで、作者の多面的な芸術表現の重要な側面に焦点をあてている。
作者は度々そのキャリアを通して、観察した形やモチーフを再考し、絵画、彫刻、コラージュ、ドローイング、写真を用いて形・色・線・空間を探求した。この完全とも言える図録は、「グレンストーン美術館」に所蔵されている主要なコレクションとともに、重要なパブリックコレクションやプライベートコレクションより抜粋し、「Painting for a White Wall」(1952年)や「Painting in Three Panels」(1956年)といった先駆的な初期の作品だけでなく、象徴的なシリーズ作「Chatham」、「Spectrum」の作品群の一部を紹介している。また、フランクフルトの「アム・マイン(am Main)」に設立された現代美術の展示ホール「ポルティクス(Portikus)」での展覧の為に構想されて以来30年以上ぶりの展示となる、全長約1,000平方フィートにも及ぶ記念碑的なフロアペインティングのインスタレーション作品「Yellow Curve」(1990年)にも注目されたい。「グレンストーン美術館」の創設者でありチーフキュレーターのエミリー・ウェイ・ラリー(Emily Wei Rales)による序文をはじめ、パリを拠点とする作家のジャン・ピエール・クリキ(Jean-Pierre Criqui)、アメリカ人アーティストのアレックス・ダ・コルテ(Alex Da Corte)、南カリフォルニア大学にて教授を勤める作家のスザンヌ・ハドソン(Suzanne Hudson)、カリフォルニアを拠点とする作家のコリー・ケラー(Corey Keller)などのエッセイが作者の代表作品に深みを与え、さらに発展させる。折り込みページや、作者のスタジオ、グレンストーンのアーカイブからの未発表のアーカイブ資料も収録。