DAY’S END by David Hammons
アメリカ人アーティスト、デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)の作品集。作者が手がけたパブリック・アート・プロジェクトを、キャリアとともに詳しく紹介する一冊。
本プロジェクトは、「ホイットニー美術館(Whitney Museum)」がニューヨークの「ハドソン・リバー・パーク(Hudson River Park)」と共同で、常設のパブリック・アート・プロジェクトを展開したものである。碑的なこのインスタレーションは、美術館の真向かい、マンハッタン西のガンズヴォート半島(Gansevoort Peninsula)の南端に沿った「ハドソン・リバー・パーク」に設置されている。
本プロジェクトの展開を記念して刊行された本書は、彫刻作品のドキュメントであると同時に、この不可思議な作品に幅広い文脈を与える情報が盛り込まれている。本作は、アメリカ人アーティスト、ゴードン・マッタ・クラーク(Gordon Matta-Clark)の伝説的とも言える作品「日の終わり(DAY'S END)」(1975年)からインスピレーションを受けている。1975年、マッタ・クラークは、かつてこの地の近くにあった52番埠頭の倉庫に5つの穴を開けた。2014年、作者は「ホイットニー美術館」にモニュメントのスケッチを送り、マッタ・クラークにオマージュを捧げた。それは、建築物の代わりに、工業的な素材を用い、大聖堂のような姿を成した空間であった。2021年に完成した作者の作品は、同じく「Day's End」と題され、元の倉庫の形、寸法、位置を正確に踏襲しつつ非常に開かれた構造として仕上げられている。
アメリカで活躍する最も重要なアーティストの一人である作者は、伝統的な場の枠にとらわれず、メディアを超えた作品を制作している。本書には写真資料のほか、作品の起源や作者のキャリアを解説するエッセイ、詩人ベン・オクリ(Ben Okri)による寄稿が収録されている。