A MAGAZINE CURATED BY SACAI
『A Magazine Curated By』は、sacaiの創設者兼デザイナー、阿部千登勢を第25号のゲストキュレーターとして迎える。
家族や友人、アーティスティック・コラボレーター、ファッションブランドなど、作者と親しい様々な面々に寄稿を呼びかけ、200ページに渡り文化的かつ創造的なコンテンツを展開する。
ウルトラマリンブルーが彩る先駆的なイメージを表現したカバーと、英語・日本語の両方でコンテンツを紹介する本誌は、 #sacaiTHEpeople を用いて東京からロサンゼルスまで国際色豊かに見せるポートレートシリーズから、シェフ、工業デザイナー、建築家、アーティスト、ライター、ビジネスアナリストによるコミッション・プロジェクトまで、sacai の背景にあるそのコミュニティとハイ・コンセプトの世界に迫る。ミニマリスト建築やアップサイクル工業デザインといった物質的な問題から、CGI製品やAI(人工知能)によるファッションルポといった無体の可能性まで、阿部は sacai のコラボレーション精神を、ハイブリッドや「安心と裏切り」というブランドの柱に様々な方法でアプローチする、きわめて現代的なドキュメントへと注ぎ込んでいる。
主な収録内容:
sacai の著名な友人やコミュニティが私物コレクションを身にまとい、一流のフォトグラファーたちによって彼らの本拠地で撮影された国際的なポートフォリオのページでは、ラシダ・ジョーンズ(Rashida Jones)、忽那汐里、エディソン・チャン(Edison Chen)、チン・シューペイ(秦舒培 / Qin Shupei)、ドクター・ウー(Dr Woo)、窪塚洋介、ミシェル・ゴベール(Michel Gaubert)、カール・テンプラー(Karl Templer)、サラ・アンデルマン(Sarah Andelman)、ザ・ルーツのブラック・ソートことタリク・トロッター(Tariq ‘Black Thought’ Trotter)などの著名人が登場。
カール・テンプラーがスタイリングを担当し、ファッションフォトグラファーのクレイグ・マクディーン(Craig McDean)がオーストラリア人モデルのジュリア・ノビス(Julia Nobis)をニューヨークの街中で撮影。2023年秋冬コレクションとカルティエ(Cartier)、阿部千登勢により誕生した限定ジュエリーコレクション CARTIER TRINITY FOR CHITOSE ABE of sacai をフィーチャーし、写真家エドワード・マイブリッジ(Eadweard Muybridge)にインスパイアされたファッションストーリー。
アート、建築の話題を中心とした東京発のインディペンデントマガジン『TOO MUCH Magazine』とのコラボレーションでは、sacai の旗艦店 sacai Aoyama の大規模な改装をそれぞれ手がけた日本の著名な建築家、藤本壮介と関祐介への詳細なインタビューを通じて、sacai と建築とのつながりを探る。
アメリカ人コンセプチュアル・アーティスト、ローレンス・ウェイナー(Lawrence Weiner)へのオマージュとしてキュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリスト(Hans Ulrich Obrist)との新たなインタビューと、ウェイナーとの歴史的な対談を収録。ウェイナーとは、 sacai の2018年春夏メンズ・コレクションでコラボレーションを果たしている。
「食」のストーリーの三部作『saCOOKBOOK』では、京都の老舗和菓子屋である とらや、ミシュラン二つ星シェフ成澤由浩、ニューヨーク・ブロンクスを拠点にする3人組のフードコレクティブ・ゲットー・ガストロ(Ghetto Gastro)が本号のために制作した、コンセプトと料理で構成されている。
巻頭では、阿部千登勢と sacai のクリエイティブ・アドバイザーを務める源馬大輔に、東京を拠点にするカウンセラー、ジョセフィン・クレイトン(Josephine Creighton)が前代未聞のインタビューを実施。2人のクリエイティブ・コラボレーションを心理学の観点からアプローチする。
ハーバード・ビジネス・スクールの大学院生ショーン・ホーヴァス(Shawn Horvath)とステファニー・フェイ(Stephanie Fei)が実施した、ナイキとのアパレル&フットウェアのコラボレーションの進化に関する詳細なビジネスケーススタディと市場分析も掲載。
ダンスとファッションの世界を融合させ、数々の受賞歴を持つビートダンサーの ソラキ(The D Soraki)が、カーハート(Carhartt WIP)やモンクレール(Moncler)とのコラボレーションを含む sacai のボリューム感のあるデザインを身にまとい、東京・新宿のストリートで踊る姿をフォトグラファー、ROLLSWYZEが撮影している。
また、本書には、イギリス人ファッションフォトグラファー、クレイグ・マクディーンによるプリントが1枚差し込まれている。
コントリビューター:
鈴木親、クレイグ・マクディーン、源馬大輔、ダニエル・アーノルド、ドクター・ウー、エディソン・チャン、ゲルチョップ、ゲットー・ガストロ、ハンク・ウィリス・トーマス、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ジャック・ピアソン、ジャン・トゥイトゥ、ホアキン・ラギンジ、カール・テンパー、内藤カツ、キース・オシロ、川谷光平、ローレンス・ウェイナー、マーヴィン・ルーヴェイ、ミシェル・ゴベール、ヌーア・ウヌ・スタジオ、パブロ・ズレト・ザール、ピクゾー、ラシダ・ジョーンズ、ROLLSWYZE 、ローリー・ファン・ミリンゲン、サラ・アンデルマン、忽那汐里、秦舒培、藤本壮介、ホンマタカシ、ブラック・ソートことタリク・トロッター、ソラキ、とらや、ヴィンス・アウン、辻村慶人、成澤由浩、窪塚洋介、関祐介 他
sacai:
ハイブリッドの発想を組み込み、ニットと繊細な織素材など、対照的なテクスチャーのファブリックを組み合わせ、パターンを再解釈し、予想外のフォルムとシルエットに洋服を変化させる。コレクションがフェミニンな様相を呈する一方、阿部の関心は、独特でありながら普遍的、そして革新的で実験的な服作りに傾倒し続けている。自身をとりまく日々の生活や、周囲の人々を観察することからインスピレーションを受け作られるコレクションは、ベーシックでクラシカルなアイテムを崩し変化させながら、独特のエレガンスを放つ。ある特定の機会だけでなく、様々なシーンにおいて成立するアイテムに仕上がっている。
2009年春夏より sacai のメンズコレクションをスタート。ウィメンズコレクションと同様の哲学とアプローチに基づいて、綿密さとさりげないエレガンスを併せ持つ、定番アイテムを展開する。
2009年10月より、パリファッションウィークでウィメンズコレクションのショーをスタート。現在はウィメンズ、メンズともに各シーズンの最新コレクションをパリで発表している。
2011年9月に東京・南青山に初の旗艦店をオープン。阿部は、自然と人工物、外と内、新しいものと古いものなど、相反する要素を統合した作品で知られる建築家、藤本壮介に強く共感し、タッグを組んだ。2022年に改装され、2023年4月、日本人建築デザイナーの関祐介による新たなコンセプトでリニューアルオープン。
sacai は、東京以外でも、香港、北京、ソウルに店舗を展開し、世界各地のセレクトショップや百貨店などで取り扱われている。
A Magazine Curated By:
『A Magazine Curated By』は、毎号ファッションデザイナーをゲストキュレーターとして招き、その世界観を探求するユニークなコンセプトマガジン。編集部とのコラボレーションにより、ゲストキュレーターが革新的である独自のコンテンツを通して、文化的な価値観や美学を表現する。各号では、人々と情熱、物語、感情、好奇心、自然さ、真正性という、デザイナーの理念を讃えている。ベルギー初のファッション雑誌を誇る本誌は、今最も影響を与えているファッションデザイナーの視点を親密に繰り広げており、国際的に高い評価を得てきた。
過去には、アレッサンドロ・ミケーレ、デルフィナ・デレトレズ、エックハウス ラッタ、アーデム、フランチェスコ・リッソ、ジャンバティスタ・ヴァ、グレース・ウェールズ・ボナー、ハイダー アッカーマン、高橋盾、キム・ジョーンズ、ルーシー&ルーク・メイヤー、メゾン・マルタン・マルジェラ、ピエールパオロ・ピッチョーリ、プロエンザ・スクーラー、リカルド・ティッシ、シモーネ・ロシャ、スティーブン・ ジョーンズ 、トム・ブラウン、ヨウジヤマモトなどがキュレーションを務めた。
記事:デザイナーとともに革新を続ける『A Magazine Curated By』編集長ダン・サーリーの雑誌作り(THE FASHION POST)