BUT STILL, IT TURNS by Paul Graham (ed.)
イギリス人フォトグラファー、ポール・グラハム(Paul Graham)キュレーションによる、写真についてのささやかな主張とその再生のマニフェスト。力強く多様な作品たちは、どうしようもなくもつれ合った現実に臆することなく素直に向き合おうと呼びかけ、アーティストたちはスタジオでの撮影や従来のドキュメンタリー写真に付き纏う制限に惑わされることなく、人生をありのままに受け止めながら、変化し、歪み、分岐する終わりなき物語を語っている。 グレゴリー・ハルパーン(Gregory Halpern)『ZZYZX』、旅を通じて「共感」を表現しようとしたヴァネッサ・ウィンシップ(Vanessa Winship)『she dances on Jackson』、カラン・ハトレベル(Curran Hatleberg)による人びとの物語のアッサンブラージュ『Lost Coast』、多数の要素を含む豊かな世界観を提示したスタンリー・ウォルカウ=ワナンブワ(Stanley Wolukau-Wanambwa)『One Wall a Web』、アメリカに漂う死の気配を捉えたリチャード・チョイ(Richard Choi)『What Remains』、ラメル・ロス(RaMell Ross)の幻想的なドキュメンタリー作品『South County』、エマニュエル・ブルッティ(Emanuele Brutti)とピエルジョルジオ・カソティ(Piergiorgio Casotti)のコラボレーションプロジェクト『Index G』、感覚を混乱させるようなアメリカ西部の風景を背景に男らしさとは何かを探求したクリスティン・ポッター(Kristine Potter)『Manifest』を収録。 グラハムに選ばれた作品たちは、不協和音を奏でながらも奇妙なまとまりを見せ、新しい写真表現の在り方を提示している。タイトルの『BUT STILL, IT TURNS(それでも地球は回っている)』は、地動説を無理やり否定させられたイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイがつぶやいたと言われている。そして本書は、グラハムの言葉を借りれば「この世界の果てしないつながり」を表現している。グラハムと、レベッカ・ベンガル(Rebecca Bengal)、ラメル・ロス(RaMell Ross)、イアン・ペンマン(Ian Penman)のエッセイを同時収録。
物語を聞かせて
狂乱の時代の今この瞬間に
物語を聞かせて
遥か遠い場所の星の光の物語を
物語のタイトルは「時間」だけど
その名を口にしてはならない
深い歓喜の物語を聞かせて
- ロバート・ペン・ウォーレン(Robert Penn Warren)
「本書に登場する写真家たちは、この世界で出会った人の生を演出や操作をせずに描き、それを通じて自分自身を発見し表現することに専念している」 ―ニューヨークタイムズ紙
「本書に収められた力強く多様な作品は錯綜する現実を表現している」 ―ガーディアン紙
「うらぶれた店先や富裕化によって荒廃した都市から日常の中の牧歌的な瞬間まで、この10年間のアメリカ人の生活の一面を飾らずに捉えた8つの作品」 ーThe Art Newspaper紙