END OF AN AGE by Paul Graham
イギリス人フォトグラファー、ポール・グラハム(Paul Graham)の作品集。『Beyond Caring』(Grey Edition, 1986)、『Troubled Land』(Grey Editions, 1987)、『A1: Great North Road』(Grey Editions, 1983)、『A Shimmer of Possibility』(steidlMACK, 2007)そして『New Europe』(Fotomuseum Winterthur/Cornerhouse Publications, 1993)など、数々の不朽の名作を世に出し、巨匠の一人に数えられる。本書では、思春期が終わり、人生の次の段階に進む入口に立った瞬間に対峙する若者ならではの耽溺と、大人としての責任感の高まりの間に訪れるほんの短い一時期の記録である。完全な覚醒と逃避。世界を真正面から見つめることと、顔をそむけること。あるがままの現実を直視することと、現実から身を隠したいという欲望。現実に背を向けて、酩酊し、目を閉じて、マリファナを吸ってリラックスする。作者の写真はこれらの二つの軸の間を揺れ動いている。それは、決して忘れることのできない心の痛手として、誰もが嫌になるほどよく知っている状況である。またこれは、重大な心理的変容の始まりであることも多い。海図に載っていない海を行くようなもので、なんとか航海を乗り越えることができるかもしれないし、凪のために足止めを食らってしまったり、単純に溺れてしまう可能性もある。作者は写真を通じて人生のこの一時期を見つめ、それに伴うトラウマや不確かさ、痛みを考察する。全てのディテールが事細かに記録された、フラッシュを直接あてた極限までシャープな写真と、それとは正反対に時にはピントをずらした状態でその場の光のみ頼って撮った、ぼやけた色が画面を支配する不鮮明な写真とが交互に登場する。抵抗しがたい魅力に満ちたカラーの作品が堪能できる1冊。