VIRTUAL REALITY by Alex Katz

アメリカ人アーティスト、アレックス・カッツ（Alex Katz）の作品集。2013年9月から11月に「リチャード・グレイ（Richard Gray Gallery）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

本展示では、1985年から2012年にかけて制作された作者のアイコニックなポートレートや風景画を中心としながら、直近の5年間の絵画作品にも注目しており、シカゴの「リチャード・グレイ」にて開催された作者の4回目の展覧会となる。アトランタの「ハイ美術館（High Museum of Art）」のキュレーターであるマイケル・ルークス（Michael Rooks）のエッセイを収録。

「カッツは、鑑賞者が外観の本質的な概念を引き出せるような、そういった一瞬の視覚的な印象をその瞬間に伝えようと試みている。イメージが焦点と合わさる知覚の瞬間を『ひらめき（flash）』や『爆発（blast）』と彼は呼ぶ。瞬間的でとらえがたい現実を描ききるために生み出されたそのスタイルは、簡略化と精錬を行い、慣れ親しんだ日常のイメージを歴史と物語の枠や、感情の葛藤による衝撃から切り離し、イメージを磨きあげてしきたりから解放し、本質的かつ直接的な情報となるまで研ぎ澄ますものである。感傷や内省、余分なものをいっさい排したカッツのリアリズムでは、その認識の瞬間が、イメージとその対象の中に同時に存在しながらも絶えず移り変わる現代的感覚に形を与えているのだ」ーマイケル・ルークス