ELLSWORTH KELLY, CATALOGUE RAISONNÉ OF PAINTINGS, RELIEFS AND SCULPTURE, VOLUME TWO, 1954-1958 by Ellsworth Kelly

アメリカの現代絵画の巨匠、エルズワース・ケリー（Ellsworth Kelly）の作品集。作者の研究者であるイヴ＝アラン・ボワ（Yve-Alain Bois）が執筆し、作者のエステートとの密なコラボレーションのもと包括的なカタログ・レゾネとして作られた本シリーズは、数巻にわたって作者の絵画、彫刻、レリーフ作品それぞれの記録を余すことなく収める。本書はその第2巻として刊行された。

本カタログは本質を突き丁寧に解説されたテキスト、個々の作品や下描きをはじめとした高質な図版、そして作品のルーツとなる資料のほか、展示歴、目録を掲載。

本書は第1巻の続刊として、作者がフランスからニューヨークに戻った1954年より始まり、友人で抽象表現絵画の仲間であったアグネス・マーティン（Agnes Martin）と共に、ニューヨーク市マンハッタン、コエンティーズ・スリップのダウンタウンで活動するアーティスト・コミュニティーでスタジオを借りて暮らしていた初期の記録である。作者のスタイルは、ニューヨークで過ごした形成期に受けたフランスのキュビズムの基盤とモダニズムの影響から、形と平面質量の観察と大判の絵画を融合させた独特な抽象表現に進化した。1958年には、スタジオを共にしたアグネス・マーティンとの会話に感化され、作者の制作活動は、後期の作品を理解する上で主要なメディアともなった彫刻作品にまで発展する。本書にまとめられたスタイルの発展期は、1940年代の抽象作品から1960年代のミニマリズムへの動きを理解するために必要とされる架け橋となる。