RED GREEN BLUE PAINTINGS AND STUDIES, 1958-1965 by Ellsworth Kelly

アメリカの現代絵画の巨匠、エルズワース・ケリー（Ellsworth Kelly）の作品集。2003年1月から4月まで「サンディエゴ現代美術館（MUSEUM OF CONTEMPORARY ART SAN DIEGO / MCASD）」で開催された展覧会に伴い刊行された。

本書のタイトルは1963年に描かれた作者の作品に似ている。長方形の油画の巨作「Red Blue Green」は作者のキャリアの極めて重要なターニングポイントとされており、正確に型取られ、バランスが取れた赤と青の二つの形が対照的な緑の背景に置かれ、地と図の間の緊張感に対する関心を示す代表作である。厳密な制限を設け、似たような大きく力強い作品群を生み出し、今でも自身の作品に通底する線、形、色に関する多くのアイディアを定義した。

1950年代後半から1960年代半ばにかけて制作されたこの作品群は、作者の唯一無二のスタイルと、1950年代のアメリカの絵画において重要視されていた抽象表現主義の骨組みを大胆に打破した20世紀後半の最も画期的な抽象画家の一人としての名声を築き上げた。本書は、収録されている21点の著名な絵画、それに関連する同時期の36点のドローイング、コラージュ、写真、そして同じ関心を元に制作された2002年の新作のセレクションを通して、この地と図をテーマとした絵画群へと繋がった想像と現実世界からのインスピレーションの複雑な相互作用を探っている。