BOOK! BOOM! LA BIBLIOTECA APOSTOLICA VATICANA INCONTRA IRMA BOOM by Irma Boom
オランダ人グラフィックデザイナー、イルマ・ボーム(Irma Boom)の作品集。2022年11月から2023年2月まで「バチカン図書館(Vatican Library)」のエキシビジョン・ホールにて開催された展覧会「Book! Boom! The Vatican Library meets Irma Boom」に伴い刊行された。
バチカン図書館と作者の出会いから生まれた本展は、オランダ大使館と教皇聖座(Holy See)の協力のもとに実現した。第一セクションではまず、作者のブックメイカーとしての最も象徴的な功績を選り抜いて紹介する。それに応える形で、バチカン図書館は「Futurist gallery(未来派ギャラリー)」を設置し、イタリアの20世紀を代表する司祭であり出版人、学者であるドン・ジュゼッペ・デ・ルカ(Don Giuseppe De Luca)のコレクションから20世紀イタリアの最も主要かつ政治や社会の変革と関わりの深い前衛芸術運動「未来派」のポスターや、重要な書籍群を初めて見せる展示を行った。エキシビジョン・ホールの中では、歴史的遺産であるバチカン図書館の所蔵品と、現代に生きる作者の作品が出会いを果たし、対話が繰り広げられた。並列することでいかに作者が片側に作者が制作した本、もう片側にはギリシャ語やラテン語、アラビア語で書かれた古今の素晴らしいカリグラムや、作者の過去から現在における作品と実に近しい軌跡を未来派初期から辿ってきたブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari)の作品の選集を並べることにより、共に観覧できるように構成されていた。
書物を本当の意味で読むということは、単に画面上を辿り目をスクロールさせることではなく、視覚を通じて三次元的な構造と材料の本質を鑑賞することを意味する。バチカン図書館が所蔵する遺産は、本が物理的なオブジェクトとして時間と空間を移動し、何世紀にもわたって、作られた場所と時代以外のところへ行ったことを証明し、またこれから未来にも生き続ける運命にある。デジタル時代真っ只中の今、物理的なブックメイカーとしてこだわりその身を捧げ、実験的なクリエイションを強みとしている作者の本を並べることで、その考えは共有されている。
本展覧会カタログは、バチカン図書館が作者へ依頼したアーティストブックとなっている。バチカン図書館のために特別な創作と表現を施された本作は大いに革新的なデザインが用いられており、このような類の出版物にありふれた形式を覆すものである。
本文の紙には、作者がデザインを監修し、製紙会社と共同開発した作者の名を冠する特殊紙「IBO One」が使用されている。